- イントロダクション(ちょっと長いし見にくいけど許して)
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とある日のセントラルシティ
『先日、セントラルシティ周辺にてドールズが出現し、アークスの親子が母子共々犠牲となり──』「やぁねぇ、アークスだとしてもまだ小さい子連れて外出るなんて」
「ほんとほんと、最近はドールズがどこに出てくるかなんて分からないのに⋯」
「だいぶ損壊が酷かったらしい⋯助けに来てくれた子、ずいぶん若かったのに⋯気の毒だね」
「小さい髪留めくらいしか遺品は無かったんだっけ?⋯物騒ねぇ」
「でも、ここまで酷いことってあったっけ?」
「さぁ?気性が荒くなってるんじゃない?」
「その若い子も負傷しちゃったみたいね、命に別状は無いといいのだけど」
「よく挨拶してくれるいい子なのよねぇ、名前のひとつくらい聞いておけば良かったかしらね?」
「そういえば、犠牲になった2人とその若い子⋯一緒にいたの見た事あるかも」
「辛いでしょうねぇ⋯大丈夫かしら」
「本当⋯辛いことばっかりねぇ⋯嫌になっちゃう」
〜〜〜〜
「⋯アスト、大丈夫かい?」
「ここは⋯」
「病室だよ⋯君の友人が運んでくれたんだ」
「お礼⋯言わないとな」
「⋯そう、だな⋯僕から何を言えば⋯っておいおい、まだ動かない方がいい」
「い“っで⋯寝てる場合じゃ⋯!」
「⋯アスト、君はもう戦わない方がいい」
「ユヅ先⋯何を言ってるんです?」
「これ以上戦えば君の身体がもたない」
「そんなのわからないだろ⋯俺は⋯戦わなくちゃ⋯」
「君の命が君だけのものじゃないことを忘れるな」
「そんなこと⋯!俺は守りたいだけで⋯」
「それで君を守ろうとして誰かが犠牲になったら?」
「っ⋯!」
「本当は伝えるべきではなかったけれど、言わせてもらうよ。君は弱い」
「分かってる⋯だから⋯」
「フォトンに適応できていない君がいくら特訓を重ねても強くはならないよ。せいぜい動きが良くなるだけだ⋯まさか、ここまで自分を酷使するとは思わなかったよ」
「なんだよそれ⋯嘘だよな⋯全部⋯無駄だったのか⋯?」
「ああ、無駄だ。限界を迎えた状態で君は積み重ねをしようとした⋯そうだね、コップに例えよう」
「⋯コップ?」
「これが君の限界だ。水を注げばこれ以上入らない⋯溢れてしまう。君がしていたのはこういうことだ」
「俺は⋯」
「戦わなくても、守れるものはあるだろう?君は君のできることをやってくれ」
「どうしても⋯だめなんですか」
「休養日も戦うようになっただろう?おかげで君の体内のフォトンの流れがめちゃくちゃになったんだ」
「⋯⋯⋯」
「医者の言うことは守るのものだよ、この休養日はフォトンの回復のためだったんだ⋯君が戦闘で疲労の色が大きいのも、全部⋯」
「俺⋯」
「⋯時間はある、考えるといい⋯君には良き友人がいるだろう」
「俺は⋯!」
「動けるのならさっさと行くといい、いつもの時間、いつもの場所に⋯みんながいつも通りいるだろうね」
「⋯こんな状態で⋯行けって?」
「ああ、そんなキツそうな顔を見せて⋯君は満足かい?心配されて嬉しいかい?それとも⋯行かないで、みんなに不安を与えたいのかい?」
「本当にあんた医者か⋯?」
「ああ、君にはこうした方がいいと判断した」
「⋯最悪の担当医だ」
「最悪で結構。鎮痛剤が効いてきただろう⋯代金はツけておく、ほら行った行った」
「⋯ありがとう、ございました」
「⋯くれぐれも、戦おうなんて思わないように」
〜〜〜〜
「⋯まだ、時間ではない⋯よな」
みんなが来るより早く来てしまった。
何を期待してるんだ。
⋯そうだ、眠って⋯時間を潰そう。
寝てる間に襲撃でも来たら⋯きっと⋯
冷たい椅子。冷たい机。
意識はどんどん深く深く。
アスト君シナリオ 1章前編
『守りたかったもの、守れなかったもの』
ある日、珍しくカフェで眠っているアストを見つけた一行。
穏やかな寝息を立てているアスト。
しかし突然、彼は目を見開き───