event:左手の向こう側

差分

このページの2つのバージョン間の差分を表示します。

この比較画面へのリンク

次のリビジョン
前のリビジョン
event:左手の向こう側 [2025/09/03] 利用者event:左手の向こう側 [2025/09/25] (現在) 利用者
行 1: 行 1:
-詳細は後日記予定+<fs x-large>キャスリン個別シナリオ 
 +『左手の向こう側』 
 +</fs> 
 +---- 
 +--> プロローグ(SS形式です、苦手な方ご注意下さい)# 
 +──セントラルシティ地下、居住区。 
 +サイレンが鳴り響いていた。 
 +鈍い、腹に響くような警報音。空気が震えて、土埃の匂いが鼻をつく。 
 + 
 +15歳のキャスリンは必死に走っていた。 
 +9歳の弟ニルの手を握りしめ、喉を焼くような声で叫ぶ。 
 + 
 +「ニル! 離れんなよ! ウチが、絶対に守ったげるから……!」 
 +「……■■!■■■■■!」 
 + 
 +周囲はもうパニックだった。 
 +シェルターを目指す群衆が、怒号と悲鳴を上げて殺到してくる。 
 +肩にぶつかる大人の肘。足をすくわれ、倒れる人。 
 +息もできないほどの熱気と圧力の中、キャスリンはよろめきながらも、左手に握った弟の手だけは離さなかった。 
 +指先に感じる小さな手。必死に握り返してくる温もり。 
 + 
 +「■■、■■■■■■……?」 
 +「んなわけない……!もうちょいだよ……! ほら、ウチらもうすぐ──!」 
 + 
 +その瞬間。 
 +爆音が轟き、地下空間全体が揺れた。シティの正門が攻撃を受けたのだろう。 
 +疑似天候スクリーンが明滅し、人々の恐慌は一気に爆発した。 
 + 
 +ろから押し寄せる群衆の奔流に、ニルの足がもつれ、膝から崩れ落ちる。キャスリンはそのまま引きずられるように前へと押し流された。 
 +繋いだ手に痛みが走る。 
 + 
 +「やめろ……! ニル!!離しちゃだめ……! 離しちゃ──!」 
 + 
 +だが、人の波は無慈悲であり、少女の腕はすぐに限界を迎えた。 
 + 
 +「■■■■■……!!」 
 + 
 +ずるりと指先が滑った。小さな手が遠ざかる。 
 + 
 +「────ああああ!! ニル!!」 
 + 
 +叫びも虚しく、弟の姿は群衆に吞み込まれ、消えた。 
 + 
 +\\  
 + 
 +── 
 + 
 +\\  
 + 
 +冷たいものが頬を打った。 
 +湿った気配と土の臭いが、意識の底に滲んでくる。 
 +瞼の裏が痛み、キャスリンはわずかに目を開けた。 
 + 
 +(……また、あの時の夢……) 
 + 
 +7年前。弟を事故で失って以来、彼女は何度も同じ夢を見た。 
 +夢に現れるのは、決まってあの瞬間──弟の手を必死に握りながらも、なすすべなく引きはがされた記憶。 
 +そして最後は必ず、ニルが人波に呑まれるところで目が覚めるのだ。 
 + 
 +「う……っ……」 
 + 
 +呻き声を洩らし、身体を動かそうとした瞬間、異常に気付く。 
 +背中や腰に、ごつごつとした感触が容赦なく食い込む。自室のベッドの感触ではない。 
 +周囲を見渡すと、崖下の狭い空間に横たわっていた。 
 +濡れた土と岩肌。見上げると、遥か頭上に崖の縁が見えた。 
 +空からは細く冷たい雨が降り注ぎ、服はずぶ濡れになっている。 
 + 
 +(……落ちた、のか……) 
 + 
 +どうやらグライドする暇もなく滑落したらしい。 
 +何時間寝ていたのだろうか。呼吸をするたびに胸が痛む。身体を起こそうと力を込めると、左足に激痛が走った。 
 + 
 +「痛っ……!!」 
 + 
 +思わず呻いて左足を見ると、見事に足首が腫れ上がっている。骨折は明らかだった。 
 +両手は擦り剝け、力が入らない。自慢のネイルチップは折れ、一部は生爪までグラついていた。 
 +さらに悪いことに、このときキャスリンはナノトランサーを所持していなかった。 
 +身体を動かせる範囲を探ったが、通信機も携帯もビーコンも、身体の下敷きになったせいで残らず破損し、使い物にならなくなっていた。 
 + 
 +(これって……ヤバいかも……) 
 + 
 +崖から滑落して、足を折って、通信機も壊れて……。キャスリンの背を冷たいものが流れる。 
 + 
 +(天罰……かな……ウチが"あんなこと"望んだから……) 
 + 
 +キャスリンはポケットから、木製の小箱を取り出す。 
 +奇妙な文様の彫られたそれは、奇跡的に無傷だった。 
 + 
 +「……ニル」 
 + 
 +小箱を胸に抱き、かすかに呟く。 
 + 
 +「待っててね……もうすぐ……」 
 + 
 +キャスリンは砂礫に身を預け、静かに目を閉じた。 
 +<-- 
 + 
 +\\  
 + 
 +<fs medium>**時**:2025年9月27日(土)**21:00~** 
 +**開始場所**:エアリオ撮影推奨002ブロック セントラルシティ 大モニター側カフェ 撮影専用ルームPASS[drp]</fs> 
 + 
 +\\  
 + 
 +<fs medium>**導入**</fs> 
 +エアリオリージョン、セントラルシティのとあるカフェテリア。 
 +日々命がけの激務に耐えるアークス達にとって、そこは一服の清涼剤といってもよい憩いの空間。 
 +今日もいつものように仕事終わりのアークス達が談笑を楽しんでいると、そこへ一人の女が訪ねて来る。 
 +「──あんた達、キャスリン・ベルクの知り合い?」 
 + 
 +\\  
 + 
 +<fs medium>**注意点**</fs> 
 +・予定では全編非戦闘イベントです 
 +・イントロダクションに参加していない方でもご参加いただけます 
 +・初対面の方でも問題なくご参加いただけますが、可能であればキャスリンと面識のある方推奨です 
 +・(よほどないと思いますが)円滑な進行に差し支えると判断した場合、主催が確定ロールを挟む可能性があります 
 +・多少なりオカルト的表現がある可能性があります 
 +・イベント内でクリエイティブスペースメニューから「設計図の検索」を行うシーンがあります。事前に操作方法の確認を推奨します 
 + 
 +\\  
 + 
 +<fs medium>**禁止事項**</fs> 
 +・大規模な異能力の行使 
 + 
 +\\  
 + 
 +内容を予めご了承いただければ幸いです。 
 +1話完結型のコンパクトなイベントにする予定です。 
 +念のための禁止事項も一応ありますが、世界規模で運命を変えたり、次元跳躍したりしなければ異能力を行使しても大丈夫です。 
 + 
 +\\  
 + 
 +おまけ 
 +BGM 
 +[[https://www.youtube.com/watch?v=EGa0HCHEWhI]] 
 +タイミング:2回目の場面転換後 
 +勿論ゲーム内BGMのみでも進行上の問題はありません。